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第34話 屋敷に忍び込もう ~???サイド~

Author: 光命
last update Last Updated: 2025-04-10 19:40:14

せっかく気づかないように近づいたのになー。

ゾルダには分かっていたのかー。

「もー、いつから気づいていたのー」

「そ……そんなの、だいぶ前からじゃ。

 ワシに分からんものなどないのじゃ」

「そーだよね、さすが真の勇者だねー」

「ん?

 何じゃ、真の勇者とは……?」

しまったしまった。

ボクとしたことが。

これは知られてはいけないことだったんだー。

「ううん。

 何でもないよー」

「あれ? 何でここにいるの、フォルトナ。

 シルフィーネ村を出るときに何も話してなかったし」

それはあの時はここに来ることは決まっていなかったしねー。

「まぁー、それはそれだから。

 今回は母さんからの伝言を伝えにきたんだー

 だけど、なんか面白そうなことをしているから、ついてきたんだけどねー」

「えーっ!

 いつから俺たちについてきていたの?」

「えーっと、今朝からかなー

 昨日には街に着いていたしー

 アグリたちを見つけたんだけどねー」

「なら、なんでその時に声かけてくれなかったんだよ」

「疲れていたのもあるしねー

 まぁ、明日でもいいやーと思って」

なんせ追いつくためにだいぶ頑張ってきたからねー。

ここまでだいぶ遠かったしなー。

「朝また探して見つけたから、ついてきたんだけどー

 さすが勇者……じゃないや、ゾルダだねー」

「そうじゃろう、そうじゃろう。

 ワシじゃからな」

「で、ここで何しているの?

 ボクも手伝おうかー」

この広い屋敷の外でなんかやってみるみたいだったけどー。

本当は伝言も伝えないといけないけど……

まずはゾルダたちが何をやっているかに興味あるなー。

「イハルが襲われているって話だったというのは覚えている? フォルトナ」

「うん。

 母さんが言っていたことだねー」

「でもここに来たら、こんな感じで襲われた痕跡はあるけど、魔王軍が居なくてね。

 それで、俺もいろいろ街で調べたけど……」

アグリが話すには、魔王軍が撤退した後、領主の姿が見えなくなったらしい。

あと真の勇者様……じゃないやゾルダも魔力を感じているみたいで。

どうもここが怪しいと感じているみたいだねー。

でも、なんか知らないけどうまく忍び込めないらしい。

「それじゃ、ボクが行こうか?

 こう見えても、忍び込むの得意だよー」

そういうのはカルムさんから一通り教えてもらっているしー。

気配消してささっと行けると
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